赤字の会社が廃業するまでの200日「6日目-①」
専務の認知症はこの1年前から症状が出始めてて、
まわりがはじめて認識したのはパソコンが使えなくなったとき。
2時間くらい延々意味のないページをパソコンから印刷してて、
そのどう見てもふつうじゃない様子を見かねたおばあちゃんが
「あんた何やってんの?」って聞いたところ、
「パソコンの使い方を忘れちまった」って言ったのが最初。
それ以降も営業の仕事は続けてやってた。
会社の人も最近口数減ったなあくらいにしか思ってなかったみたい。
その後も車の運転は半年くらい続けてたし。
オレが専務の認知症の件をはじめて聞いたときには、既に何度か車をこすって帰ってきてたりして、おいおいそれもうダメなやつじゃん!って愕然としたなあ。
会社でバイトするようになってから、専務の運転がどうなのか一緒に乗って見てきてくれって社長に言われたときは正直オレに死ねって言ってんのかってマジでおもったもんです。
でも不思議なもんで、パソコンが一切使えなくなっても車の運転だったり、得意先への道だったりはちゃんと覚えてるんですよねー。
赤信号ではちゃんと止まるし。←これ重要!
毎朝、専務を載せて工場に伝票を受け取りに行くのがオレの朝の仕事でした。